雇用保険被保険者証 紛失 対処法

雇用保険被保険者証を紛失?その理由と対処法

転職活動においては、必要な手続きや書類が数多くあります。

失業手当の受給手続きや、転職先への入社手続きの際に必要になる「雇用保険被保険者証」もその1つ。

しかし、いざ提出する段階になると「手元にあるはずなのにない」ということが多々あるようです。

ということで今回は、雇用保険被保険者証が所在不明になってしまう理由と合わせて雇用保険被保険者証を紛失したかもしれない時の対処法について紹介します。

雇用保険被保険者証が必要な場面で、手元にない!という人は、ぜひ参考にしてくださいね。

 

紛失時の対処法
雇用保険被保険者証とは一体どんなもの?

まず最初に、そもそも「雇用保険」とは何か?「雇用保険被保険者証」とは一体どんなものか?について確認しておきましょう。

雇用保険とは失業時に備える国の保険

雇用保険とは、「雇用保険法」という法律に基づいて万が一失業してしまった労働者に対して保険金(「失業給付金」や「失業手当」などという)を給付するために用意されている制度です。

保険者( = 保険を運用している者)は国、被保険者( = 保険が掛けられている人)は労働者で、保険料は労働者と事業主が分担して支払うことで運用されています。
 

雇用保険に加入するための条件とは

そしてこの雇用保険に加入するための条件は、3つあります。

  • 勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがあること
  • 1週間あたり20時間以上働いていること
  • 学生ではないこと

31日間以上働く見込み」とは、31日間以上雇用が継続しないことがあらかじめ明らかな場合以外は、すべて該当します。

1週間あたり20時間以上」とは、いわゆる「所定労働時間」が週20時間以上であることを指します。

ある週にたまたま週20時間以上働いたことがあっても、所定労働時間が週20時間未満ならこの条件は満たしません。逆にある週にたまたま週20時間未満の労働だったとしても、所定労働時間が週20時間以上なら雇用保険の加入対象になります。

学生ではない」こと、というのは2つ例外があります。

まず「通信教育・夜間(2部)・定時制」の学生が働いている場合は例外。そして卒業見込証明書が発行されている学生が、卒業前に卒業後に就職予定の会社で働いているような場合も例外となります。つまり、学生ですが雇用保険に加入するための条件に該当するということ。

これら3つの条件に該当する労働者は、正社員・契約社員・パートやアルバイトといった労働形態であっても、雇用保険の加入対象です。

なお事業主には、雇用保険に加入するための条件を満たす従業員を雇った場合、従業員を雇用保険に加入させる義務が生じます。

労働者の義務ではありませんが、事業主に課せられた義務なので、通常は加入条件を満たす労働をするなら自動的に加入することになります。
 

雇用保険料は労働者と事業主で分担して負担する

雇用保険料ですが、一般的な事業の場合は給与の0.9%、そのうち0.6%を事業主が、0.3%を労働者が負担する、と定められています。

例えばある月の給与が30万円だった場合、労働者は30万円の0.3%、つまり900円が雇用保険料として給与から天引きされることになります。
 

雇用保険被保険者証は雇用保険の被保険者であることを証明するもの

雇用保険被保険者証とは、文字通り「雇用保険の被保険者であることを証明する書類」のことです。
 

<雇用保険被保険者証>
雇用保険被保険者証 紛失 理由 対処法

 
会社は社員を雇用保険に加入させなければならなくなると、会社の管轄地となるハローワークに対して入社日の翌月10日までに雇用保険の加入手続きを行います。

そしてハローワーク側の手続きが終わると、発行された雇用保険被保険者証は会社を経て社員の手元に届けられます。
 

雇用保険被保険者証が紛失?どうすべき?

次に、「失業手当の手続き」や「教育訓練給付金の手続き」そして「転職先への入社」など、雇用保険被保険者証が必要なのにも関わらず手元にない場合の理由と対処法を紹介します。

雇用保険被保険者証が手元にない理由
① 退職した会社が渡し忘れている

雇用保険被保険者証が手元にない理由として、最もよくあるのが「退職した会社が渡し忘れている」というものです。

前章で紹介したように、雇用保険被保険者証はハローワークから会社を経て社員に対して発行されます。

手続き自体は会社が行いますが、雇用保険に入るのはあくまでも社員なので、雇用保険被保険者証も会社ではなく社員に発行されるものなのです。

そのため本来であれば社員の手元に渡されるべきものですが、2003年4月までは社員の手元に渡さず、会社の総務のような部署で保管されているのが普通でした。

2003年5月以降は全国のハローワークが事業主に対して「雇用保険被保険者証を社員に確実に渡すように」という通達を出しているので、2003年5月以降に入社した会社を退職する場合は、社員の手元に雇用保険被保険者証があるはずです。

しかし2003年4月以前に入社した会社を退職する場合は、雇用保険被保険者証を会社が保管している可能性もあるかも。

会社で保管している場合でも、通常は退職時に返してくれるものですが、退職時には他にも雇用保険被保険者離職票や源泉徴収票、年金手帳など渡さなければいけないものがたくさんあるので、担当者が渡し忘れているケースがよくあります。

対処法

退職した会社から渡された書類一式をよく確認した上で、もしもどこにも入っていなければ、退職した会社の担当者に確認してみましょう。


 

雇用保険被保険者証が手元にない理由
② そもそも雇用保険に加入していない

雇用保険は「雇用されたら必ず加入する」というものではありません。

雇用保険に加入するには、あくまでも「勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがあること」「1週間あたり20時間以上働いていること」「学生ではないこと」という条件を満たしている場合に限られます。

つまり雇用形態を問わず、この条件を満たしていない場合は雇用保険に加入しません。

自分が雇用保険に入っているかどうかは、給与明細を見ればわかります。雇用保険に入っている場合は、必ず雇用保険料が給与から天引きされています。

逆にいえば、給与から雇用保険料が天引きされていない場合は雇用保険に加入していません

雇用保険に加入していなければ、雇用保険の被保険者ではないため、雇用保険被保険者証は発行されない、ということになります。この場合の対処法は、何もありません。
 

雇用保険被保険者証が手元にない理由
③ 受け取ったが紛失している

雇用保険被保険者証は、健康保険証と違って普段使うことのないもの。おまけに小さな紙切れです。

そのため入社手続き後に会社から渡されても、どこかにしまったまま、どこにしまったかわからなくなった、もしくはそのまま捨ててしまった、といったケースが考えられます。

対処法

この場合、住所地(自分が住んでいる住所)を管轄するハローワークで再発行手続きができます。

雇用保険被保険者証の再発行に必要なものは、以下の通りです。

  • 顔写真付きの本人確認書類(運転免許証など)
  • 退職した会社の名前・本社の住所・電話番号がわかるもの
  • 印鑑(署名で代用も可)

代理人による手続きも可能ですが、この場合は「雇用保険の被保険者の身分証明書」と「代理人の身分証明書」と「委任状」が必要になります。

また、郵送や電子申請による手続きも可能です。詳しくは管轄ハローワークに確認してみましょう。


 

雇用保険被保険者証が手元にない理由
④ 前職が公務員

国家公務員や地方公務員は雇用保険に加入していません。これは国家公務員や地方公務員は民間企業の会社員のように突発的な失業のリスクが低く、雇用保険の適用対象外だからです(一部例外あり)。

その代わりに、条件を満たせば「退職手当」を受け取れることになっています。

雇用保険の適用対象外ということは、雇用保険には入っていません。つまり雇用保険被保険者証もありませんし、対処法もありません。

 

雇用保険被保険者証に関するよくある疑問

最後に、雇用保険被保険者証に関してよくある疑問とその回答を紹介します。

雇用保険被保険者証が必要なのはどんな時?

回答

雇用保険被保険者証が必要な場面は、主に以下の3つです。

  • 転職先に入社する時
  • 失業手当の受給手続きをする時
  • 教育訓練給付金の受給手続きをする時

転職先でも雇用保険の加入条件を満たした働き方をする場合、当然また雇用保険に加入することになります。

その際には、前職で加入していた雇用保険被保険者証が必要になります。

また前の職場を退職したものの次の職場が決まっていない場合は、失業手当を受給しながら転職活動を行うことになるはずです。この失業手当の受給手続きには、雇用保険被保険者証が必要です。

なお失業手当の受給手続きには「雇用保険被保険者 離職票」という書類も必要なのですが、「雇用保険被保険者証」も「雇用保険被保険者 離職票」も退職時に会社から発行されます。この2つを混同しないようにしてくださいね。

ちなみに「(雇用保険被保険者)離職票」は「雇用保険の資格喪失を被保険者に通知するもの・退職者が失業手当の振込先をハローワークに届け出るもの」、そして「事業者が離職前に支払っていた賃金の状況と離職理由を示すもの」です。
 
また、教育訓練給付金の受給手続きをする際も雇用保険被保険者証が必要です。

教育訓練給付金とは、労働者が自身のスキルアップを目的に国が指定した教育訓練を受講すると費用の一部として支給される給付金のこと。

対象は雇用保険に3年以上加入している被保険者で、在職中・離職中を問いません。


 

雇用保険被保険者証に有効期限はある?

回答

はい、あります。雇用保険被保険者証の有効期限は7年です。

雇用保険被保険者証に記載されている「雇用保険番号」(被保険者番号)は、原則として1人に1つ割り当てられます。

そのため転職しても、同じ雇用保険番号をそのまま使うことになります。だからこそ同じ雇用保険被保険者証が必要になるのです。

しかし雇用保険被保険者でない期間が7年以上経つと、ハローワークのデータベースからその人に割り当てられた雇用保険番号は抹消されてしまいます。

ただし7年以上経過したところで再度雇用保険に加入した場合、かつての雇用保険被保険者証があれば同じ雇用保険番号で新しい雇用保険被保険者証が発行されます。

そのため、有効期限はあまり意識する必要はないでしょう。

 

雇用保険被保険者証を紛失?その理由と対処法:まとめ

以上、雇用保険と雇用保険被保険者証について紹介した上で、雇用保険被保険者証がない場合の理由とその対処法、雇用保険被保険者証に関してよくある疑問とその答えを紹介しました。

雇用保険被保険者証は、自分の手元になければ「現在勤務している会社」もしくは「以前勤めていた会社」のいずれかにあるはずです。受け取った記憶がなければ、これらの会社の担当部署に問い合わせてみましょう。

受け取った記憶はあるものの見当たらない、という場合、紛失している可能性が高そう。一通り調べてみて見つからない場合は、ハローワークで即日再発行が可能なので自分の住所地を管轄するハローワークで手続きをしましょう。

雇用保険被保険者証は無くしても再発行可能ではありますが、いざという時に生活を支えてくれる雇用保険の被保険者であることを証明してくれるもの。受け取ったら大切に保管するようにしましょうね。