【会社の辞め方マニュアル】退職理由の伝え方や手続きの流れを詳しく解説!

会社 辞め方

会社を辞めようと決意したものの「辞めることをいつどうやって上司に切り出そう」「引き留められたらどうしよう」など、悩みが尽きない人は多いと思います。

退職したいと伝えるタイミングや伝え方を間違えると、自分が考えるスケジュール通りに事が進まなくなるばかりか、円満な退職ができずに双方に禍根を残したり、最悪トラブルに発展することも。

そこでここでは、退職を決意した人のために退職理由の伝え方やその後の手続きの流れについて詳しく解説します。

会社を退職する流れや退職意思の伝え方が知りたい人、注意点やトラブル解決法について知りたい人は、ぜひご一読くださいね。

 

会社の辞め方は?基本的な流れを時系列で解説

まずは会社の辞め方の基本的な流れを、時系列に沿って紹介していきましょう。

会社を辞める際の基本的な流れは、以下のようになります。

  1. 退職したい旨を会社に伝える
  2. 会社の承諾を得たら退職願を提出する
  3. 業務の引き継ぎをする
  4. 社内外へ退職の挨拶をする
  5. 有給休暇を消化する
  6. 失業保険の受給や健康保険の切り替え手続きを行う

会社を辞めるにあたっては、退職したい旨を会社に伝えるところからすべてが始まります。

一連の流れでは、ここが最も大事で最もパワーが必要です。

そのためこの後「正しい会社の辞め方・会社を円満退社する5つのポイント」「会社を辞める理由の伝え方」という章を別途設けて、詳しく解説します。

そして会社に退職が認められたら、その後は実際に退職へ向けて様々な準備をすることになります。これについては「会社を辞める前に必要な準備は?」という章で詳しく解説しましょう。

会社の辞め方
退職についての法律的な基礎知識

まず会社の退職について、基本的な法律知識を押さえておきましょう。

正社員は原則2ヵ月前までに申し出ればよい

労働者が会社を退職する際の決まりは民法627条に定められています。

民法627条によると、雇用期間の定めのない労働者(正社員・パート・アルバイトなど雇用形態は問わず)は、いつでも退職を申し出ることができ、退職の申し出から2週間の経過をもって雇用契約は終了し、自動的に退職となります(年俸制は3ヶ月前・完全月給制は月の前半)。

つまり正社員なら会社に一方的に「退職します」と申し出れば、その2週間後には辞められてしまうのです。

会社がこれを引き留めることはできません。仮に就業規則に別途定めがあっても、民法は就業規則に優先します。就業規則に縛られることはありません。

1年未満の雇用契約の労働者は自由な退職が制限される

パートやアルバイト、派遣社員のように雇用期間が定められている労働者の退職は、契約から1年が経過していればいつでも退職することができます。

しかし1年未満の場合は「やむを得ない理由」がない限り、期間満了まで退職できません。「やむを得ない理由」は事故や病気、親や家族の介護、労働条件と実際が違う、などが該当します。

なお「やむを得ない理由」がなくても、会社側が退職を認めれば契約から1年未満であっても退職することができます。

 

正しい会社の辞め方・会社を円満退社する5つのポイント

いくら自由な退職がある程度法律で認められているとはいえ、それまでお世話になった会社に後ろ足で砂をかけるような辞め方はおすすめできません。

会社を辞めるにあたっては、あくまでも正しい辞め方に則って、円満退社を目指すべきです。

そこでここからは、会社を円満退職するために必要な5つの注意点を紹介しましょう。

円満退社の注意点
①:退職の意思は「直属の上司に」「直接」「3ヶ月前までに」伝える

会社に退職の意思を伝える際に、必ず守るべきポイントは以下の3つです。

  • 直属の上司に伝える
  • 1対1の面談で直接伝える
  • 3ヶ月前までに伝える

最初に伝える相手は必ず「直属の上司」

退職を最初に伝えるのは、必ず直属の上司にしましょう。

「〇〇部▲▲課」なら▲▲課長です。

▲▲課長を飛び越えて〇〇部長に伝えるのは、▲▲課長の顔を潰すことになるのでNG。

また同僚や先輩に退職を相談していて、そこから上司や会社の耳に入ってしまう、というのもよくありません。会社の人に退職の相談をする際は絶対的に信頼できる相手のみとし、きつく口止めしておきましょう。

1対1の面談で伝える

上司に退職の意思を伝えるのは、上司のアポをとった上で1対1の面談の機会を設け、そこで伝えるようにしましょう。

他の社員がいる中で上司の席に行き伝える、というような伝え方はNG。

社員の退職は部署内や社内に少なからず動揺を与えるセンシティブな情報であり、会社や上司としては他の社員への伝え方には色々気を遣うはずだからです。

退職希望日の3ヶ月前までに伝える

そして退職の意思を伝えるのは「退職希望日の3ヶ月前」がリミット。

つまり退職までの間は最短でも3ヶ月は空ける、ということになります。

なお退職希望日は、自分の意思を上司に明確に伝えるようにしてください。

退職することを引け目に感じて「退職日は会社の都合に合わせます」などと言ってしまいがちですが、これはあまりよくありません。退職日がいつまでも決まらず、ずるずると会社に居続けることにもなりかねないからです。

 

円満退社の注意点
②:退職理由はポジティブなものにする

上司・会社に伝える退職理由はできるだけポジティブ、つまり前向きなものにしましょう。

「この会社は人間関係がよくないから」「ここにいてもスキルが身につかないから」といったようなネガティブな退職理由を伝えると、上司・会社側は決していい気持ちがしません。その結果、過度な引き留めに遭うなど退職がスムーズにいかなくなる可能性もあります。

逆に「新しく〇〇の仕事に挑戦してみたい」「✕✕のスキルを身につけたい」といったように前向きな退職理由を伝えれば、上司・会社はそれを応援しようという気持ちになってくれるかもしれませんし、少なくとも会社都合で引き留めることはできなくなるでしょう。

いずれにしてもポイントは「今後の人生のためにポジティブな選択をする」という姿勢をアピールする、という点です。

円満退社の注意点
③:上司から強い引き留めがあってもひるまない

上司に退職を申し出ると、多くの場合何らかの引き留めに遭います。

退職を引き留められるということは、会社ではそれだけ大事な戦力として見て評価してくれているということですから、ありがたいことと捉えるべきです。

それでも退職したい意思を真摯な気持ちで伝えれば、最終的には退職を後押ししてくれると思います。

しかし中には過度な引き留めに遭い、いつまで経っても退職を受け入れてくれない、退職手続きを進めてくれない、ということがあります。

前章で紹介したように、退職の自由は労働者に認められた権利。そのため上司や会社に何をいわれても、ひるんだり遠慮したりすることのないようにしましょう。自分の一生を左右する問題なので、ここは妥協してはダメです。

といっても、上司・会社と対立しろ、ということではなく、強い姿勢で粘り強く交渉する、ことを心がけてください。

円満退社の注意点
④:退職を申し出た記録を残しておく

円満な退職は、退職の意思表示から始まります。繰り返しになりますが、正社員には原則として退職の申し出から2週間後には退職できることになっています。

そのため退職にあたっては「いつ退職を申し出たのか」という事実がとても大事。上司に退職を申し出た日や、退職願を提出した日などは、必ずノートやメールなどに記録を残すようにしておきましょう。

退職で揉めた場合、会社側が「退職の申し出なんて聞いていない」と言い出すことがありますが、退職交渉の記録を残しておけばこれに反論することができます。

円満退社の注意点
⑤:就業規則を確認する

退職の意思が固まったら、就業規則の退職に関する項目を確認しておくようにしましょう。

就業規則はその会社での働き方全般について、決まりを定めた「ルールブック」のようなものです。常時10人以上の労働者を使用する会社は、就業規則を作成して行政官庁に届ける必要があります。つまり普通規模の会社であればほぼ必ずあるはずです。

その上で就業規則は従業員への周知義務があり、会社への掲示や備えつけ、書面での交付、社内ネットワークへのアップなど、社員の見られる場所に置くことが義務付けられています。

就業規則には会社を退職する際のルールが書かれているので、退職手続きは就業規則で定められたルールに則って進めるようにしましょう。

 

会社を辞める理由の伝え方

会社を辞める旨を上司に伝える際に、退職理由を聞かれるのは避けられません。

人によって退職理由は様々でしょうが、会社を円満退職するにあたって退職理由の伝え方はとても重要なポイントです。

コツは「無理に引き留めにくくなる事情」を強調する、というところでしょう。

ということでここからは「会社を辞める理由の伝え方」について具体的に紹介します。

退職理由は必ずしも詳しく話す必要はない

上司に退職を切り出せば「なぜ?」「どうして?」と聞かれるのは自然の流れです。

本人さえよければ、退職理由を正直に答え、詳しく話してしまっても問題ありません。

しかし退職理由をあまり詳しく話したくない、という人もいるでしょう。このような場合は退職理由は「一身上の理由」「健康上の理由」「家庭の事情」といった程度で大丈夫です。

そもそも詳しい退職理由を会社や上司へ事細かに話す必要はありません。

困ったら「一身上の都合」

会社を辞める際によく使われるのが「一身上の理由」ですが、これは退職理由を明かしたくない場合や、ひと言で説明できない場合などに使える大変便利な表現です。

退職理由に困ったら、とりあえず「一身上の都合」にしておけばよいでしょう。

もし更に突っ込んで聞かれた場合は

  • スキルアップのために資格を取得したいと思い、勉強に集中するため
  • 別の業種・職種に興味があるため
  • 自分で(あるいは友人と)起業をしたいため

などと答えるようにします。

「体調不良」も使い易い

何らかの体調不良で退職する場合、具体的にどんな病気か、どんな症状かといった詳細を説明する必要はありません(もちろん説明してもよい)。

デリケートな問題のため、会社に深く聞かれる可能性も低いでしょう。

場合によっては診断書の提出を求められることがありますが、これも提出する義務はありません。繰り返しになりますが、退職は自由だからです。ただし契約から1年未満の有期雇用契約社員の退職の場合、「やむを得ない理由」に該当するかの判断のために診断書を要する場合があるので注意が必要です。

また病名がついているわけではないものの「何となく心身が辛いから」という場合でも「体調不良」は使えます。

「体調不良」の詳細について聞かれた場合は

  • 体調を崩してしばらく通院していたが、退職して治療に専念するため
  • 持病と付き合いながら働いてきたが、最近悪化してきたので治療に専念したい

のように、簡単に答えておけばよいでしょう。

「家庭の事情」は正直につたえやすい

親の病気や介護、結婚や家族の転勤など「家庭の事情」で退職する場合も詳細を伝える必要はありませんが、体調不良よりは伝えることに抵抗がないという人も多いかもしれません。

そのような場合は正直に明かしてしまってもよいでしょう。

ただし様々な働き方が整った会社や、全国に拠点や子会社があるような会社の場合、短時間勤務が可能な雇用形態や転勤・転籍などを提案される場合もありますので、その点は頭に入れて受け答えできるようにしておきましょう。

 

会社を辞める前に必要な準備は?

上司・会社へ退職の意思を伝達し、退職が承諾されて具体的な退職日が決まったら、いよいよ退職に向けて動き出すことになります。

そこで次は、会社を辞める前に必要な準備について、より具体的なことを紹介していきます。

業務の引き継ぎ準備・引き継ぎをしっかり行う

会社の退職が決まったら、それまで自分が担当していた業務を後任に引き継ぐための準備をします。

引き継ぎにあたっては会社から後任が指名される場合と、指名されない場合があります。

どちらの場合も引き継ぎの方法やスケジュールを擦り合わせ、後任者が困ることのないようにしましょう。

引き継ぎにあたっては、業務の手順や注意点、取引先の特徴や現状などを記した資料を作成しておくと良いでしょう。

お世話になった人々へ挨拶回りをする

退職の意思を上司に伝え、必要があれば退職願を提出し、会社側が正式に退職を承諾したら、社内外のお世話になった人々へ退職の挨拶を行います。

退職前の挨拶回りをするにあたって大事なのは、社内外への挨拶は会社が正式に退職を承諾した後にする、ということです。

会社が退職を承諾する前に退職の挨拶をしてしまうと、後々何かとトラブルになる可能性もあるので注意しましょう。

また営業職のように、取引先など社外の人との接触が多い業務の場合、取引先に後任を紹介しておくことも大事です。

なお社外への退職の挨拶にあたっては、そのタイミングは事前に上司と事前に相談するのが良いでしょう。

有給休暇を消化する

正社員はもちろん、契約社員やアルバイトであっても要件を満たせば有給休暇が付与されます。会社を退職する前には有給休暇の残り日数を確認し、退職前にすべて消化することをおすすめします。

ただし、有給休暇を消化する際は自分の業務や引き継ぎに支障が出ないように配慮しましょう。

返却物をまとめる

会社を退職する際に会社に返却しなければいけないものは、意外にたくさんあります。

会社から貸与されていたノートパソコン・タブレット端末、スマートフォン、ビルやオフィスへ入館・入室するためのカードキーなどはもちろんのこと、電卓やボールペンに至るまで、自分で買ったものではない会社の備品はすべて返却する必要があります。

また自分の名刺、取引先などと交換した名刺も返却の対象なので、忘れず返却しましょう。

失業保険の受給や健康保険の切り替え手続きを行う

会社を退職した直後に別の会社への就職が決まっておらず、空白期間が空く場合、失業保険の受給や健康保険の切り替え手続きが必要です。

失業保険は職を失った人の生活の安定、再就職へ向けた転職活動を支えるためのもの。

失業保険の手続きは住所地を管轄するハローワークで行うことになりますので、会社を退職後に再就職までの空白期間が空く人は、会社を退職後なるべく早くハローワークへ行くようにしましょう。
 

 
さらに会社を退職すると、原則としてその翌日から健康保険が使えなくなります。そのため健康保険の切り替え手続きもなるべく早く行うようにしましょう。

なお会社を退職した後の健康保険には、大きく分けて「とりあえず『任意継続制度』を使ってそれまでの社会保険を継続して使う」「国民健康保険に切り替える」「家族の扶養に入る」の3つの選択肢があります。
 

 
なお不明点は、退職前に会社で社員の健康保険を扱っている部署(総務など)か、住所地を管轄する市区町村役場の国民健康保険担当の部署で確認することができます。

 

会社を辞める手続きで注意することは?

続いて、会社を辞める手続きを進める上で注意すべき点を3つ紹介します。

注意点①:転職先を見つけてから辞める

これは人によって考え方が違いますが、一般的に退職は転職先を決めて手続きを進めるのがベスト。

転職先が決まっていれば心に余裕が持てるからです。

退職後、再就職までの間に少し休みたい、という人もいるでしょうが、この場合は転職先への入社時期をあらかじめ後ろに倒しておくようにしましょう。

なお自己都合退職であっても、退職後は一定期間失業保険が支給されます(期間や額は人によって異なる)。そのため退職後の経済的な不安はそれほどありませんが、支給開始までに待機期間があったり、いつかは支給が終わってしまうことを考えると、やはり転職先を決めた上で退職、という流れを採る方が無難です。
 

注意点②:転職活動を知られないようにする

退職前に転職活動をする場合、転職活動をしていることを会社や同僚に知られないようにした方が無難です。

もし転職を画策していることが知られた場合、無理な引き留め工作にあったり、嫌がらせを受けたりなど、無用なトラブルが生じることも。

転職活動がバレるのは「普段よりパリっとしたスーツを着ていることが多くなった」「定時退社が増えた」「仕事へのやる気が減退している」など、ささいなことが多いので、退職前に転職活動を行う場合は、普段と変わらぬ勤務を続けるようにしましょう。

注意点③:繁忙期の退職は避ける

会社を退職する時期は従業員が自由に決めることになっていますが、実際は会社と相談の上で決めることになります。

その際は繁忙期の退職はできるだけ避けるようにしましょう。

繁忙期に退職をすれば、当然残された同僚たちは大変な思いをすることになりますし、会社にも少なからず迷惑をかけてしまいます。

退職にあたって生じるしこりは、できるだけ少なくしておくべき。どうしても避けられない事情があるなら仕方ないですが、避けられるのであれば繁忙期の退職は避けましょう。

 

会社を辞める時に起きるかもしれないトラブルと解決法

労働者が会社を退職する権利は法律によって守られており、会社がこれをむやみに妨げることはできません。

しかしいわゆる「ブラック企業」と呼ばれるような会社の中には、様々な手段を使って社員の退職を阻止しようとすることがあります。

そこで、退職時に起きるかもしれないトラブルと解決法についても紹介しておきます。

なおいずれのケースも法律違反なので、困ったことになれば会社の住所を管轄する労働基準監督署に相談してくださいね。

トラブル①:そもそも退職を認めてくれない!

何度も紹介しているように、正社員の退職は申し出から2週間が経過すれば自動的に成立します。

もしも退職を申し出ても会社が認めてくれない場合や退職願を受け取ってくれない場合、内容証明郵便で会社に退職願を送付してください。

その上で内容証明郵便到着後2週間は出勤し続け、退職が成立する2週間が経過したら出勤するのを止めましょう。

なおパート・アルバイト・契約社員などで有期契約雇用の場合、無期雇用契約の正社員ほど自由に退職はできません。退職を拒否されたら契約終了までは勤務を続ける必要があります。

ただし前述のように「やむを得ない理由」がある場合はこの限りではありませんし、会社が認めれば退職することができます。退職を拒否された場合は粘り強く交渉を続けてください。

トラブル②:なぜか損害賠償請求をされた!

退職を申し出ると「退職されたら会社にマイナスが出るから損害賠償を払え!」といわれることが稀にあるようです。

しかしこれに従う必要は一切ありません。

入社時の労働契約や就業規則にそのような決まりがあっても、労働基準法16条では「損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と決められており、社内の決め事よりも法律の方が優先します。

ただし退職の際に労働者に大きな過失があった場合、損害賠償が請求される場合もないわけではありません。

例えば「2週間の期間を置かずに突然退職した」「退職にあたって同僚を引き抜いていった」「会社のお金で長期間留学し、帰国してすぐに退職した」のようなケースがこれにあたりますが、通常の退職でには該当しませんので、労働基準監督署や弁護士に相談するようにしましょう。
 

トラブル③:有給休暇の消化を認めてくれない!

「入社後6ヵ月以上勤務している」「全労働日の8割以上出勤している」という条件を満たしていれば有給休暇が付与されます。

そして労働者からの有給休暇取得の申請を、原則として会社は拒むことができません(代わりの従業員がおらず、休まれると他の業務に多大な影響を与えるような場合は別)。

有給休暇の申請が認められない場合は、社内の総務的な部署や上層部に相談しましょう。

トラブル④:退職日を会社に指定されてしまう!

退職を申し出た際に「せめてこの日までは会社にいてくれ」のように会社に退職日を指定されることがあります。

納得した上でこれに従うのは問題ありません。

しかし退職は労働者側の一方的な意思表示で2週間後に雇用関係を終了することができるので、会社が労働者の退職日を一方的に決めることはできません。

これは法律を盾に拒否しましょう。

トラブル⑤:退職金を支払ってもらえない!

「企業は退職者に退職金を支払わなければならない」という法律はありません。退職金制度の有無は企業が自由に決めることができますし、金額も自由です。

ただし就業規則に退職金制度の規定がある場合、企業は退職者に退職金を支払う必要があります。ポイントは法律ではなく、就業規則です。

退職金が支払われない場合、まずは就業規則で退職金制度の有無を確認してください。なければ退職金は諦めましょう。

あればその内容を精査し、自分が支給対象かどうかを確認してください。支給対象にも関わらず支給されない場合、就業規則を根拠に会社側と交渉しましょう。

 

会社の辞め方 Q&A

最後に会社の辞め方について、よくある質問とその答えを紹介しましょう。

質問
退職願と退職届の違いは?
文字通り退職願は「退職させてください」とお願いをするもの、退職届は「退職します」と意思表示をするものです。

両者に大きな違いはなく、退職願は退職届に比べるとへり下る形となり、角が立ちません。

なお、退職願や退職届を提出する必要があるかどうかは、就業規則を確認しましょう。就業規則に提出の定めがなければ、必ずしも提出する必要はありません。

答え

 

質問
退職の意思を電話やメールで伝えるのはOK?

法律的な問題でいえばOKですが、マナー的な問題でいえばNGです。退職の意思は上司との面談で口頭で直接伝えるのがマナーです。

ただし「事故や急病などで入院している、家族の看護や介護の都合で直接伝えることができない」というようなやむを得ない場合は仕方がありません。この場合も後日直接上司に挨拶をする必要はあるでしょう。

答え

 

質問
会社を辞める理由で嘘をついてもよい?

嘘をついた場合の最大のリスクは、それが何らかの理由で転職先にバレることでしょう。これは元の勤務先と転職先が同じ業界の会社や、取引関係にある際などに起きがちです。

この場合嘘の内容よりも、嘘をついて元の勤務先を騙したこと自体が問題で、人間性を疑われることになります。下手をすれば転職先での信用失墜にも繋がりかねません。

「嘘も方便」という言葉もありますので、嘘が必ずしもダメだということにはなりませんが、このようなリスクは頭に入れておくべきでしょう。

答え

 

会社の辞め方マニュアル:まとめ

以上、会社を辞めたいと思った人のために退職理由の伝え方・その後の手続きの流れ・注意点やトラブル解決法などを紹介しました。

正社員の退職は法律の守られた権利のため、原則として会社が拒否しても退職をすることはできます。だからといって会社や同僚に迷惑をかけるような辞め方をするのは考えもの。

ブラック企業から逃げ出すのでもなければ、やはり一定の期間の余裕をもって退職を相談し、退職時期を含めて双方納得の上で円満に退職するのがベターといえます。

もし退職交渉が円滑に進まない場合は、躊躇なく労働基準監督署に相談してください。労働基準監督署は厚生労働省の出先期間であり「労働Gメン」の役割を担っています。労働関連法規に違反する企業に目を光らせているため、退職問題で悩んでいる人の相談にも乗ってくれますよ。