最近、利用者が増えている「退職代行」ですが、巷では「退職代行を使うなんてありえない」という声も耳にします。
そこでこのページでは、本当に退職代行の利用はありえないのか?について、検証し解説してみることにします。
1. 退職代行について
退職代行はありえないのか?について触れる前に、そもそも退職代行とはどんなサービスなのか、についておさらいしてみます。
ご存知の方も多いとは思いますが、しばらくお付き合いください。
1-1. 退職代行とは
「退職代行」とは、退職したくても何らかの理由で退職できない人の代わりに、会社へ退職の意思を伝え、退職に関する交渉や調整を行ってくれるサービスのことです。
えっ、退職を伝えるだけじゃないの?
と思う方も多いかもしれませんが、会社へ退職の意思を伝えるだけでは退職が完了しません。
退職日を確定させ、有給が残っている場合は有給消化を調整し、健康保険証や制服といった会社からの貸与品の返却調整、離職票などの退職関連書類の送付依頼など、退職に関する交渉や調整は多岐に渡ります。
こういった交渉・調整を含めて、退職者と会社の間に入ってくれるのが「退職代行」です。
1-2. どんな時に使われる?
では、退職代行はどんな時に、どんな方に使われているのでしょうか。
主な具体例と4つの事例を見てみましょう。
事例1)退職が言い出しにくい・言い出せない場合
私も経験がありますが、会社へ退職の意向を伝えるのは、簡単のように見えて難しいものです。
今とは環境を変えたいと思っていても、良い職場、ブラックな職場を問わず、会社へ「退職したい」と言い出せず、ズルズルと数か月・数年と時間だけが経っていく…といった経験をした人も多いと思います。
そういう時に力になってくれるのが「退職代行」です。
事例2)上司のパワハラなどが横行している場合
上司が部下に対して高圧的に接する“パワハラ”気質の会社はまだまだ多くあり、そういった会社では、上司への恐怖心から本当は退職したいのに言い出せないことがあります。
またパワハラなどのハラスメントが継続することにより、心を病んで退職を会社に伝えるのが難しくなるケースもあります。こうなると会社にいること自体が苦痛に。
そういった状態から抜け出すには自力では難しいので、退職代行を利用するのが良いでしょう。
事例3)退職を承認してくれず先延ばしにされる場合
退職の意思を上司に伝えたが上司預かりになってそれっきり、後任に引き継ぎが完了するまで退職を先延ばしするよう説得された、退職時期を会社が指定してきて大幅に退職が遅れそう、といったのがこの事例です。
人手不足が目立つ中小企業を中心に最近よく耳にするケースで、実際、かなり強い退職の引き留めも増えてきているようです。
退職の時期は、本来自分のタイミングですべきなので、3か月以上先延ばしにされるようなら退職代行を使ってさっさと辞めるのがおすすめです。
事例4)退職申請をした途端に嫌がらせされている場合
退職願を会社に出したら、上司や同僚から冷たい仕打ちを受けるなど、退職までの期間で嫌がらせが続くこともあります。
仕事や引き継ぎに必要なファイルにアクセスできなくなったり、仕事が振られなくなったり、逆に面倒な仕事を押し付けられたりする“ハラスメント”を受けて心身を病んでしまう人も。
そうなる前に「もう職場にいたくないな」と感じたら、退職代行を使って前倒しで辞めたり、退職日まで有給消化に入ったりすることも検討しましょう。
1-3. 退職代行の種類
退職代行について考える上で、とても重要になってくるのが「退職代行の種類」です。
退職代行は運営者によって大きく3つの種類が分かれています。
退職代行の種類
この中で「一般法人」とは「労働組合」でも「弁護士」でもない運営者を指し、株式会社や合同会社だけでなく、社会保険労務士や行政書士といった士業や個人事業者も含みます。
この3種類の退職代行ですが、それぞれ法律で「できること・できないこと」が明確に定まっているという特徴があります。
具体的な「できること・できないこと」を表にまとめてみましょう。
業務内容 | 一般法人 | 労働組合 | 弁護士 |
---|---|---|---|
退職意思の伝達 | ◯ | ◎ | ◎ |
退職日の調整 | × | ◎ | ◎ |
有休消化申請 | × | ◎ | ◎ |
離職票などの請求 | × | ◎ | ◎ |
裁判になった時の対応 | × | × | ◎ |
料金相場 | 1〜2.5万円 | 2.2〜3万円 | 5〜10万円 |
ご覧いただいてわかる通り、一般法人の退職代行では、単なる伝言である「退職の意思を会社へ伝えること」以外できる業務はありません。
後程、詳しい法的根拠について見ていくことにしますが、まずは退職に関わる交渉・調整ができるのは「労働組合」または「弁護士」の退職代行だけと覚えておきましょう。
2. 退職代行は本当にありえない?
「退職代行はありえない」と言う人もいますが、本当に退職代行はありえないのでしょうか?
法律上の側面も含めて検証してみましょう。
2-1. 退職に関する法律
まずは退職に関する法律の記載について主なものを見ていきましょう。
正社員・パート社員・アルバイトの退職
正社員・パート社員・アルバイトの方は法律的に「期間の定めのない雇用契約」にあたりますが、期間の定めのない雇用契約の場合、以下の法律によって退職が定められています。
【民法 第627条1項】
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。【出典:e-Gov】
正社員・パート社員・アルバイトの方は、いつでも退職の申し入れをすることが可能で、その為の条件は一切ありません。たとえ会社が「退職は認めない!」と言ったとしても、退職の申し入れをした日から2週間(14日)後には自動的に退職が成立します。
契約社員の退職
では、契約社員の場合はどうなのでしょう?
契約社員はその言葉の通り「期間に定めのある雇用契約」です。契約社員の方の場合は、期限まで働くという契約を結んでいる為、正社員・パート社員・アルバイトの方のように自由な退職が認められていません。
しかし途中退職が全く認められていないわけではなく、以下のような場合には退職が認められると法律で定められています。
【民法 第628条】
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。(以下略)【出典:e-Gov】
契約社員の方が途中退職を認められる「やむを得ない事由」は法律には具体的に定められていませんが、以下のような場合とされています。
- 仕事が続けられない病気
- 自分自身の出産・育児
- 家族の介護
この他にも「会社側に明確な非がある場合」でも契約途中での退職は可能ですが、通常は民法 第628条にある「やむを得ない事由」が退職条件となります。
逆に言うと、仕事を続けられない明確な理由を会社に伝えることができれば、早期の退職が可能です。
法律は就業規則に優先
退職を申し出ると、会社によっては就業規則を盾に退職を認めないことがあります。
しかし就業規則にどのような定めがあっても、絶対的に民法や労働基準法といった法律が優先することが「労働基準法 第13条」で定められています。
【労働基準法 第13条】
この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。 この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。【出典:e-Gov】
法律よりも厳しい条件で就業規則が定められていた場合、その部分については無効とされて法律で定める内容が適用されます。退職において法律よりも就業規則が優先されることは一切ないので安心してくださいね。
ここまで退職に関する法律について触れてきました。
法律で見ると、想像していたよりも簡単に会社を辞めることができる、と思った方も多いのではないでしょうか。
2-2. 退職代行の法的根拠
では次に、退職代行の法的根拠を見ていきたいと思います。
退職代行には「弁護士」「労働組合」「一般法人」が運営する3つの種類が存在しますが、それぞれ退職代行を行う法的根拠が異なっています。
順番に見ていきましょう。
弁護士の退職代行
退職代行を実行する際は「会社との交渉・調整」が必ず必要なのですが、この「会社との交渉・調整」は「法律事務」に該当し、弁護士のみに認められる独占業務となっています。
【弁護士法第72条】
弁護士でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。【出典:e-Gov】
「他の法律に別段の定め」がなければ、原則、退職代行業務は弁護士しかできないということになります。
労働組合の退職代行
退職代行の業務は「法律事務」にあたる為、原則、弁護士の独占業務になりますが、労働組合の場合は、労働組合法で労働条件に関する「会社との交渉・調整」が別途認められています。
【労働組合法第6条】
労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。【出典:e-Gov】
その為、弁護士とは違った法的根拠で労働組合も退職代行業務を行うことが可能です。
一般法人の退職代行
弁護士・労働組合の退職代行と異なり、一般法人には退職代行を実行する上での法的根拠はありません。
ここでいう「一般法人」とは、株式会社や合同会社などの法人、労働組合や弁護士を除く個人事業を指します。社会保険労務士や行政書士といった法律系の士業事務所についても「一般法人」に分類されます。
この一般法人の退職代行については、依頼者からの退職の意思を会社へ伝言するだけであれば「法律事務」にあたらず違法ではありませんが、退職日の決定などの「会社との交渉・調整」については一切できないので利用しないようにしましょう。
3. 退職代行はありえなくない!
ここまで退職に関する法律や退職代行の法的根拠について見てきましたが、
ということが分かります。
労働組合と弁護士の退職代行へ依頼して利用するのであれば、一部の人から言われる「退職代行なんてありえない!」というのは誤りです。
法律で認められた権利を行使しているだけですので、「ありえない」という声は無視して構いません。
ただし一般法人の退職代行を利用する際は、話は別です。
法律上、依頼者の代理が許されていない者が会社と交渉することになりますので、退職できないリスクを負うだけでなく「ありえない」と言われても仕方ないかもしれません。
必ず、労働組合か弁護士の退職代行を利用するようにしましょう。
4. 退職代行 利用の流れ
では参考までに「退職代行サービスを利用する場合の依頼から退職完了までの流れ」を紹介しましょう。
以下に紹介する流れは多くの退職代行会社で行われている流れを一般化したもので、個別の退職代行サービスによっては流れが若干異なることもあります。その点はご了承ください。
step
1LINE・メール・電話などで無料相談
退職代行サービスの多くはLINEで退職代行の相談を受け付けています。
退職代行を利用したいと思ったら、いくつか退職代行サービスの公式サイトを確認し、LINEの公式アカウントからまずは相談をしてみましょう。
なおLINEを使いたくない場合であれば、多くの退職代行サービスがメールフォームを用意していますので対応可能ですが、電話でのやり取りをしてくれる退職代行サービスはほとんどありません。
一般的は退職代行サービスでは、相談までは無料。最終的に依頼に至らなくても問題ないので、疑問点はこの段階で解消しておきましょう。
step
2依頼を決めたら料金を支払う
無料相談の結果、退職代行の依頼を決めたら、指定の方法で料金を支払います。
多くの退職代行サービスがクレジットカード払いを用意していますが、銀行口座振込も併せて用意している業者もあります。クレジットカードを持っていない人は銀行振込に対応している退職代行サービスを選ぶと良いでしょう。
step
3ヒアリング・打ち合わせ
料金を振り込んだ後は、いよいよ退職代行日を打ち合わせます。
この時に会社名や連絡先、退職理由などを聞かれますので、すべて答えられるようにしておきましょう。また、業者から委任状などの書類の提出を求められる場合もありますので、その時は対応するようにしてください。
なお、書類の提出についてはLINEやメール経由で行われますので、退職代行サービス側と直接会ってやり取りをする必要はありません。
step
4退職代行を実行
事前に打ち合わせた日時になったら退職代行サービスの担当者が会社側に電話をし、退職意思の伝達とその他必要な交渉を行います。
早ければこの日のうちに、無期雇用契約の場合は遅くとも2週間後に退職となります。
労働組合や弁護士運営の退職代行サービスであれば、会社に対して依頼者本人への直接接触はしないように要請してくれるので、会社から電話がかかってくることや、会社の人が自宅に訪ねてくるようなことは原則としてありません。
step
5貸与品の返却などの後処理を行う
退職代行を実行すると、すぐに退職代行会社からその結果について連絡があります。
退職に成功した場合は貸与品の返却方法などを案内されます。会社に退職届を提出する必要がある場合もその指示がありますので、担当者の案内や指示に従って後処理を進めてください。
あとは退職後に離職票や年金手帳などの「受け取るべきもの」を受け取ればすべての手続きは完了です。
なお退職後にこれらが送られてこないといった問題が起きることがあります。そのようなトラブルに備え、無料でアフターケアを行ってくれる退職代行サービスに依頼するのがポイントです。
5. 退職代行 よくある質問
参考までに「退職代行サービスのよくある質問とその答え」をまとめておきます。
一般法人の退職代行サービスは料金的に最も安い価格帯ですが、法的な根拠がない為、退職に失敗することもあり得ます。労働組合もしくは弁護士の退職代行を選びましょう。
もし引き継ぎをした上での退職を求められても、無期雇用契約(正社員・アルバイト・パートなど)の場合はそれを突っぱねて退職できます。
1年以下の有期雇用契約の場合はこれを理由に退職を拒まれる可能性は考えられるでしょう。この場合は「引き継ぎ事項をまとめた書類を郵送する」など妥協点を探る必要はあるかもしれません。
詳しくは退職代行業者に相談してみましょう。
また、狭い業界の場合、退職時の顛末が広まれば、同業他社への転職がしづらくなるかもしれません。
特に正社員のような無期雇用契約であればほぼ必ず退職できるので、とにかく早く会社と縁を切りたい人におすすめといえます。
6. 退職代行おすすめ3選!
では、最後にこれから退職代行を利用をお考えの方に、おすすめの退職代行会社をご紹介しておきましょう。
退職代行業者は全国に数十社以上ありますが、全国対応しているおすすめの退職代行業者を3つ厳選してまとめました。
会社名 | 退職代行 退職サポート |
退職代行 ガーディアン |
弁護士法人 みやび |
---|---|---|---|
運営者 | 労働組合 | 労働組合 | 弁護士 |
即日退社 | ◎ | ◎ | ○ |
無料アフターケア | ◎ | ◎ | ◎ |
365日対応 | ◎ | △ | ◎ |
LINE相談 | ◎ | ◎ | ◎ |
クレカ払い | ◎ | ◎ | × |
依頼手続きの手間 | ◎ 簡単 |
◎ 簡単 |
△ 面倒 |
料金(税込) | ◎ 22,000円 |
○ 24,800円 |
△ 55,000円+実費 |
評価 | 43点/50点中 |
34点/50点中 |
26点/50点中 |
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