リクルートは転職市場における「老舗中の老舗」で、「リクナビNEXT」「リクルートエージェント」「リクルートダイレクトスカウト」など、複数の転職サイトを運営しています。
しかしこれらのサービスが同様のサービスなのか、異なるサービスなのか、異なるとしたらどのように異なるのか、正確に把握している人は意外に少ないのではないでしょうか。
ということで今回は、リクルートが運営するリクナビNEXT・リクルートエージェント・リクルートダイレクトスカウトの3つのサービスの違いを紹介し、どのように使い分けたらよいのかを見ていきましょう。
リクナビNEXT・リクルートエージェント・リクルートダイレクトスカウトの違い
リクルートが運営する転職サイトであるリクナビNEXT・リクルートエージェント・リクルートダイレクトスカウトは、それぞれ社会人の転職活動をサポートするサイトでありながら、提供するサービス内容はそれぞれ微妙に異なります。
中でも明確かつ大きく異なるのが「求人への応募方法」と「対象とする登録者のキャリア」です。
違い①「求人への応募方法」
3つのサービスの大きな違いは「求人への応募方法」です。
リクナビNEXT・リクルートエージェント・リクルートダイレクトスカウトのすべてのサービスで、自らが会員登録するところから始まるのは同じですが、会員登録後、応募方法、実際に企業との面接に辿り着くまでのルートや、そこに至るまでのサービスが異なってきます。
リクナビNEXT・リクルートエージェント・リクルートダイレクトスカウト、それぞれの応募方法を見ていきましょう。
リクナビNEXTは基本的にすべて「自分で」行う
リクナビNEXTは、企業からオファーやスカウトがくることもありますが、基本的に自分で登録されている求人情報を閲覧し、自分が良いと思った求人案件に自分で応募します。
自分で探して、自分で応募するのが、リクナビNEXTの特徴といえます。
リクルートエージェントは「代理人」としてサポートをしてくれる
リクルートエージェントは、会員登録をするとまず行われるのが「キャリアアドバイザー」との面談です。
面談では求職者の今までの経歴やキャリア・希望などのヒアリング、希望の業界・職種・企業の求人動向に関する情報提供、職務経歴書の添削などが行われます。
その上で、リクルートエージェントが登録されている求人案件の中からぴったりの案件を紹介してくれるのです。
つまり「求人への応募」の手順はなく「キャリアアドバイザーによる案件紹介」から仕事探しが始まるわけです。
求職者が「ぜひ面接を受けたい」となれば実際の面接へ進むわけですが、面接にあたっては面接日時や転職条件(ポストや給与など)の交渉から模擬面接の実施、提出する書類の添削など、面接を突破するためのサポートを細かくしてくれます。
まさにキャリアドバイザーが「エージェント」(= 代理人)として、様々なサポートをしてくれるのがリクルートエージェントの特徴です。
リクルートダイレクトスカウトはスカウトを待つ
リクルートダイレクトスカウトは、会員登録した後は文字通りスカウトを待つことになります。
スカウトを行うのは、リクルートダイレクトスカウトに求人登録をしている企業の求人担当者と、約600社・約4300人のヘッドハンターです。
ヘッドハンターによりスカウトされたら、転職先や転職の諸条件について話を進めていくことになります。
対象とする「登録者のキャリア」も違う
求人への応募方法と並ぶ3つのサービスの大きな違いに「対象とする『登録者のキャリア』」もあります。
リクナビNEXTは基本的にキャリアを問わない
リクナビNEXTは、基本的に登録者のキャリアを問いません。
高卒や第2新卒でも、正社員経験や就業経験がない人でも、つまり誰でも登録をすることができます。
そして登録されている求人案件も、日本を代表する企業がハイスキルな人材を募集するものから、ローカルな中小企業が未経験者歓迎で人材を募集するものまで、とても幅広くバラエティに富んでいます。
リクルートエージェントも基本的にキャリアを問わないが…
リクルートエージェントも、リクナビNEXT同様に基本的に登録者のキャリアは問いません。
ただし、リクルートエージェントのサイトには「求人状況によっては、キャリアアドバイザーとの面談・相談サービスの提供が難しい場合もございます。予め、ご了承ください」という注釈が書かれています。
現実問題として、リクルートエージェントに登録されている求人は「大卒以上で年齢相応のキャリアを重ねている人を対象としたもの」が多いです。
学歴やキャリアの積み重ねがないような場合は、「具体的に紹介できる求人案件がない」という理由でキャリアアドバイザーとの面接が断られる場合があります。
リクルートエージェントは、リクナビNEXTに比べると「ややハードルが高い」といえるでしょう。
リクルートダイレクトスカウトは「ハイクラス」を対象にしている
リクルートダイレクトスカウトも、登録自体に何らの制限も設けていません。誰でも登録することができます。
また、登録にあたってリクルートエージェントのような注釈がつくこともなく、むしろFAQには「ご登録に際しての制限は設けておりません」と明記されているほどです。
しかしリクルートダイレクトスカウトは、明確に「ハイクラス向け転職スカウトサービス」と銘打っています。
「ハイクラス」の定義は明確にされていませんが、リクルートダイレクトスカウトに登録されている求人の多くが年収800万円以上。
つまりリクルートダイレクトスカウトは「『年収800万円の収入を得るにふさわしい人材』向けの転職スカウトサービス」なわけです。
年収800万円を目指すには、少なくともその時点で年収600万円程度は得ている必要がありますし、社内のポジションも最低でも部長クラス、ギリギリでも課長クラスのポジションに就いていなければ「ハイクラス」を目指すのは厳しいでしょう。
これらの年収やポジションがない場合は、転職市場で評価されるようなキャリアやスキルを身につけている必要があり、できればそれを証明する資格や実績が必要です。
以上のような条件を満たしていない場合、リクルートダイレクトスカウトへの登録自体は可能なものの、現実的なスカウトを受けるのは極めて難しくなりそうです。
リクナビNEXT・リクルートエージェント・リクルートダイレクトスカウトの使い分け
それでは次に、リクナビNEXT・リクルートエージェント・リクルートダイレクトスカウトの3つの転職サービスの使い分けについて考えてみましょう。
リクナビNEXTは転職するなら登録必須
まずリクナビNEXTから見ていきます。リクナビNEXTの良さは、以下のような点です。
- 同種の転職サイトでは断トツの求人数の多さ
- 自分のペースで転職活動ができる気軽さ
- オファー機能やスカウト機能も備えている
リクナビNEXTは常時10万件以上の求人数をキープしています。これはリクナビNEXTと同種の転職サイトと比べて、最も多い求人数。
この求人数の多さは、そのまま求人のバラエティの豊富さに直結しています。そのためリクナビNEXTは多くの求職者にとって興味を引かれる求人が5個や10個は簡単に出てくるはず。
転職を考えている求職者は、最低でもリクナビNEXTには登録しておいた方が良いでしょう。
また、リクナビNEXTはリクルートエージェントのようにキャリアアドバイザーがつくことがありません。
これは言い換えれば「自分のペースで好きなように転職活動を進められる」ということにもなります。転職の情報収集のためだけに登録をしてもよいですし、転職活動に疲れたら少し休む、休んだらまた再開する、といったことも自由自在です。
さらに、リクナビNEXTはリクルートエージェントやリクルートダイレクトスカウトのように、企業や転職エージェントからのオファーやスカウトが来るのも良い点です。
オファーやスカウトの数は、現在の転職市場における自分の価値を知るための物差しにもなりますし、自分では見つけることのできなかった企業から思わぬキャリアを評価されてスカウトがくることもあります。
なおリクナビNEXTは、Web上の簡単な操作でレジュメをリクルートエージェントにも登録可能です。転職を真剣に考えている人であれば、リクナビNEXT・リクルートエージェントの両方を活用すると良いでしょう。
なるべく早く転職をしたいならリクルートエージェント
次にリクルートエージェントですが、リクルートエージェントの良さは以下の点です。
- キャリアアドバイザーの手取り足取りのサポート
リクルートエージェントの良さは、とにかく「キャリアアドバイザーのサポートの手厚さ」につきます。
キャリアアドバイザーのサポートは、履歴書や職務経歴書といった必要書類の効果的な書き方の指導を始め、希望する企業の面接に突破するための戦略を授けてくれるなど、細かい点にまで至ります。
まさに「手取り足取り」という表現がぴったり。
このサポートがあるからこそ、リクルートエージェントを活用した転職は概ね3ヶ月以内にほぼ決まります。
できるだけ早く転職したい人はリクルートエージェントのサポートを受けて、一気呵成に転職活動を進めるべきです。
また1人では転職活動を上手く進める自信がない人も、リクルートエージェントを活用するのがおすすめです。
ハイクラス転職を目指すならリクルートダイレクトスカウト
最後にリクルートダイレクトスカウトですが、リクルートダイレクトスカウトの良さは以下の点です。
- 優良企業で年収800万円以上へのキャリアアップが狙える
- ヘッドハンターの対応や質が高い
前述のように、リクルートダイレクトスカウトはハイクラス求人に特化しています。
自身のこれまでのキャリアに自信があり、今後は更なる高みを目指していきたい、という人は、ぜひリクルートダイレクトスカウトに登録してください。
自信があまりない人でもニーズがなければスカウトが少ないだけの話なので、登録であまり躊躇する必要はありません。むしろ躊躇してせっかくのハイクラス転職のきっかけを逃す方がもったいないでしょう。
そしてリクルートダイレクトスカウトは、登録されているヘッドハンターの質が高いという特徴があります。
ヘッドハンターは担当業種や職種、業界歴や勤務地といった情報が公開されており、求職者から検索してアプローチすることができます。
リクルートダイレクトスカウトでの転職活動は、ヘッドハンターとの出会いがすべてといっても過言ではありません。
もし思ったようにスカウトされない場合は、自ら信頼できるヘッドハンターを見つけて自己アピールをするのもありですよ。
リクナビNEXT・リクルートエージェント・リクルートダイレクトの違い:まとめ
以上、リクルートが運営している転職サイトのリクナビNEXT・リクルートエージェント・リクルートダイレクトスカウトの3つについて、その違いと使い分けについて紹介しました。
転職を考えているのであれば、3つのうちリクナビNEXTへの登録は必須です。今すぐ転職するのではなくても、登録だけでもしておきましょう。
リクナビエージェントはキャリアアドバイザーと二人三脚で転職活動を進めるため、転職する気がないうちは登録しなくてもよいでしょう。できるだけ早く転職を決めたい、もしくは、一人では自信がない、という人であれば登録をおすすめします。
リクルートダイレクトスカウトは、人によって向き不向きがはっきりする転職サイトです。「自分はハイクラス求人に相応しい」「更なる高みを目指したい」と思っているのであれば、躊躇なく登録するようにしましょう。